(111) 豊かな歴史・伝説・文化を秘めた 宇治の樹々 中学校時代の同窓会が宇治で開かれました。宇治と言えば奈良と京都の中間にあり、日本の豊かな歴史・文化の地ですが、そこにある樹木も多くの秘められた歴史・伝説・文化を語り伝えていることでしょう。この機会を利用し、宇治の樹木を探訪しました。先に、「平等院の樹木」を紹介しましたので、今回はそれ以外の興味深い樹木を紹介します。 |
(111-1) 宇治とツバキ、チャノキ 宇治と言えば源氏物語。源氏物語の最後の部分は宇治を舞台に物語が展開し、それは"宇治十帖"と呼ばれています。宇治市内には源氏物語ミュージアムがあり、宇治川河畔の公園には下写真のような源氏物語のモニュメントがあります。そしてその周りにヒカルゲンジ(光源氏)と名付けられたツバキ(椿)が植えられています。 ヒカルゲンジの花は淡い紅色に赤い線が入った八重咲で、優美で気品にあふれた花です。 |
(111-2) 「宇治」はかつて「菟道(うじ)」と呼ばれていた |
(111-3)日本最古の宇治上神社と欅御神木 宇治神社の北隣に宇治上神社があり、昔は両神社は一体だったようです。宇治上神社の本殿(下写真左)は鎌倉時代初期(1215年)建築のものと推定され、日本に現存する最も古い神社建築物であり、国宝に指定されるとともに世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つとして登録されています。 |
本殿右脇にはこの神社の由緒の深さを物語るようなケヤキ(欅)の巨木(上写真右側)が立っています。幹周4.8m、樹高27mの端正な欅は宇治上神社の御神木であるとともに、宇治市名木百選に選定されています。 欅巨木の左手には宇治七名水で残っている最後の名水・桐原水が湧き出る建家がありますが、桐原水が枯れることなく残っているのはこの欅巨木のお陰であると言われています。 |
(111-4) 萬福寺のボダイジュ 萬福寺は中国福建省から渡来した隠元禅師が1661年に創設した中国風の寺院です。 |
(111-5) 縣(あがた)神社の大ムクノキ 縣神社は平等院のすぐ近くにあり、境内はあまり広くはないのですがムクノキ、イチョウ、クスノキの大木が並び、その由緒の古さが偲ばれます。実際、この神社は平等院より古い存在で、平等院創建時には鎮守社となったと伝えられています。その中でひときわ大きく、当神社の御神木になっているのがムクノキ(椋木)の巨木です。 |
この椋木は幹周4.4m、樹高26m、推定樹齢500年の巨木です。板根が発達し根元が三角形に大きく広がっており、沢山の根も露出していて、500年余にわたり風雪に耐えてきたこの木のたくましさが伝わってきます。椋木の御神木は大変めずらしく、さらに豊かに茂る枝葉とすらりと伸びる樹形の美しさから、この椋木は縣神社を代表する樹木として「あがたの森」と呼ばれ、宇治市名木百選に選定されています。 |
樹木写真の属性 | |
樹 種 | ツバキ(椿) [ツバキ科ツバキ属] クスノキ(楠) [クスノキ科クスノキ属] ケヤキ(欅) [ニレ科ケヤキ属] ボダイジュ(菩提樹) [アオイ科シナノキ属] ムクノキ(椋木) [アサ科ムクノキ属] (「樹木の見所」のページにリンクしています) |
樹木の所在地 | 京都府宇治市 |
撮影年月 | 2017年11月 |
投稿者 | (1)岡田 修一 (2)上城 哲郎 (3)木村 樹太郎 |
投稿者住所 | (1)京都府宇治市伊勢田町 (2)大阪府門真市船田町 (3)島根県邑智郡川本町 |
その他 |